イラクのシャハリスタニ石油相は2月29日、原油掘削・サービス契約の獲得に向け、115社が入札への登録を行ったことを明らかにした。
契約対象となる油田には、同国北部キルクーク油田に加え、南部の巨大油田群も含まれるという。同相は油田名を特定しなかったが、入札への参加資格を得た企業は3月に公表するとしているという。
アラブ勢力ならびにOPECと距離を置くであろうイラク石油だけに、注目したい。
ちなみに28、29日にウィーンで開かれたOPECの経済委員会では、2008年の原油供給が需要を上回るとの推計が示され、増産を支持する根拠はないとの見解が支配的となった。これは同委員会の当局者がリークした内容だが、同当局者によると、今年の需要は日量120万バレル増、供給は同140万バレル増と予想され、このうちOPECの供給分は同50万バレルになるという概算。
ただし同委員会は原油市場の需給関係を評価する機関で、産油政策を勧告する立場にはない。OPECは3月5日に定例総会を開く。原油市場は価格が過去最高値圏で推移する一方で、需要は低迷傾向にある。
ヘッジファンドの系列石油会社の動向を無視した主張にはなんの意味もないという事実を世界は再確認することとなろう。
同日、アメリカのCFTCは「価格設定に問題がある」ということでジェット燃料取引を調査しているが、このような試みに価値や効力があるか、というのも疑問だ。
アメリカのメキシコ湾と東海岸地域の石油製品トレーダー筋や仲買筋に対して「ジェット燃料の価格設定に関する情報提供」を求めているという。トレーダー筋によると、CFTCが要求しているのは2006年12月18―25日、07年5月21―25日に行われた取引に関する情報。
CFTCのスポークスマンからのコメントは現時点ではないが、他の市場筋によると、CFTCは米国防総省の燃料調達部門に代わり、調査を行っているようだ。
同部門のスポークスマンは、「価格操作に関連して同部門が講じた措置は知らない」としているが、いずれにせよ、ディノザウルスに「口実」を与える結果になりはしないか、とトレーダーは危惧している。
同日、ロシアの国営天然ガス独占企業ガスプロムは29日声明を発表、ウクライナの未払いガス代金をめぐる2国間交渉が不調に終わったことを受け、3月3日から同国向けガス供給を25%削減すると表明した。
ガスプロムのスポークスマンは声明で、「状況が行き詰まったと考え、ガスプロムは3日午前10時(0700GMT)からウクライナ向けのガス供給を25%削減する」とし、「28、29の両日行われたウクライナ側との協議は何の成果ももたらさなかった」と吐き捨てた。
同日、上記のようなビッグニュースの裏時間で、エクアドルが原油輸出で「不可抗力条項発動」を宣言した。主要パイプラインが前日、地滑りの影響で送油停止に追い込まれたことを受けた措置という。
チリボガ石油相は、「これまでのところ原油輸出は中断していないが、買い手に対する予防的対策として不可抗力条項の宣言を決めた」と説明しているが、基本に則った「便乗作戦」であることが明確である。
カワセミ
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